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MIT白熱教室!? 「デザインの極意」

2018年09月12日

今学期取っている授業の中で、最も「白熱教室」で放送されそうな雰囲気なのが、2.723 Engineering Innovation and Designだ。 マイケル・サンデル先生よろしく、100近くの生徒と絶えず言葉を交わしながら、新しい視点でモノを見せてくれる。 とにかく、講師のカリスマ性、人を惹きつける力がすごい。

教壇に立ったと思ったら、まずは用意してきたスピーチを始めた。いい感じの写真を集めたパワポをめくりながら、

「世界は勝手に進歩していくように思えるかもしれないが、その背景には人がいる。 特にエンジニアは、モノを作ることを通して多くの人生に触れることができる。 みんなで、いい世界を作っていこう」

といったスピーチをした。そして一通り授業の概要を説明したと思ったら間髪入れずに、生徒全員にオレオを配り始めた。 もうこの時点で、学生の心はガッチリ掴んでいる。

Blade Kotelly先生は、「デザイン」と「工学」を繋げるプロだ。 「世界初の社交的ロボット」と謳われたJiboのあらゆる設計に携わったり、(その後、Jiboの会社自体は大変なことになっているがそれはまた別の話…)、スマートスピーカーのパイオニア、Sonosのスピーカーシステムにも関わっていたり、コンサルタントとして数々のプロジェクトに関わっている。 彼のサイトをちょっと覗いたら分かるが、いかにも壇上で話すのが上手そうな感じである。

そして、実際に上手い。始めに先生が投げかけた質問が、「iPhoneを超えるスマホを作ろう。あなたなら何をする?」である。 学生が、「iPhoneユーザーにアンケート調査をする」「自分でもiPhoneを使ってみて、良さを体験する」などとどんどん答えていく。 それに対し、Blade先生はコメントをしたり、iPhoneのデザインがいかにうまく出来ているかなどを語る。そして一通り案が出たところで先生が言ったのは…

「君たちが考えるべき問はそれじゃない。『そもそもiPhoneキラーを作る意味が、今更あるのか?』だ。」

要するに、デザインするときは前提を疑え、ということだ。iPhoneの場合は、すでにAppleが独占していて、超えることはそうたやすいことではないし、対抗手段になるのはスマホとは全く別のモノかもしれない。枠から外れてみないと、革新的なデザインは生まれてこない、というわけだ。

初回の授業ではこのような調子で、

という、大きな概念が紹介された。これからは、講義を交えつつ、少人数のグループに分かれて、実際の製品(今学期は、Amazonアレクサのスキル)をデザインしていくことになる。

この講義の帰り道、ドアノブの一つ一つから消火栓まで、「なぜそのようなデザインなのか」をなんとなく考えながら歩いていた。気づいたら世界の見方がちょっと変わっていた。 こういう授業、結構いいかも。



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