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伸び仕草懲りて、暇乞い。

2022年04月07日

私は先月東大大学院を卒業し、今年の7月から、スイスでロボットを研究するために博士課程に進学するのだが、修論を書くまでの作業でとても疲れてしまった。現在の「空白の期間」でいったんリセットして、うまく研究や仕事と付き合える方法を模索していこうと思う。 2020年に東大の大学院に入学(入院?)し、JSKというロボット研究室に所属していた。筋骨格ヒューマノイドという、人体を模して人工筋(ワイヤをモーターで巻き取る方式)で駆動されるタイプのロボットを動かす制御の研究なのだが、学部も合わせるとJSKにいる間に国際学会に4本の主著論文を出せたので、結構アクティブな方だったと思う。とはいっても、同じ部屋で最近博士を取得した先輩が1年で10本くらいのペースで主著論文を発表していくので、自分のペースはとてもゆっくりなものであったと錯覚してしまうが。

しかし、なんというか、修士論文を出すまででとても疲れてしまった。まだ鬱とかそういうレベルのものではないのだけれど、メールを出すとか書類を埋めるとかいうタスクがとてつもなく億劫になってしまって、一瞬で終わるようなものでもそのタスクから逃げるためにYouTubeを見始めたりして、永遠に時間が無駄になっていく。「論文を書く」というタスクでさえ、書き始めるまでに精神的な準備時間がとても必要になる。

自分自身の性格というか性質として、一度何かにハマるとそれしかやっていたくなくなって、それ以外の「面倒なこと」へのやる気が限りなく減ってしまうというのがあると思う。大学1年とかで本格的なプログラミングやArduinoに触れたころは、寝食以外はそれをやっているだけな時期もあったと思う。

そして、他人に質問や相談をするまでの精神的ハードルが極端に高い。質問をすることで「相手の時間」を奪ってしまうということへのコストを過大評価してしまい、自身でもう少し検討すれば解決するのでは、と強引に自己解決しようとしてしまう。 その粘り強さというか固執性は、たしかに自分がプログラミングや研究の能力を身に着けるためには一役買っていたと思う。人に頼らず自分自身でねちっこく答えを追及していく過程は、答えにたどり着くという意味では時間的に非効率極まりないのだけど、それを繰り返していくと問題解決能力が著しく上がっていく。 思えば高校時代通っていた塾の恩師が、習得における「自助」の大切さをよく説いていた。自分で考えようともせずに質問した生徒には厳しい言葉もかけることがあったらしい。(尚、前首相により「自助」に変なニュアンスがついてしまって残念なのだが、ここでの話は政治とは無関係で、学習についてであることに留意されたい)

あまり要領もよくない自分がここまでこれたのは、この性格のせいだとも思っている。しかしこれはサステイナブルな作業方法ではない。もうある程度プログラミングや研究の「お作法」が分かってきた今となっては、暗中模索でもがくよりも周りの助けを借りながら、まともな生活と両立させながら進めていかないととてもじゃないけど続かない。

もしかしたら自分は再びなにかに思いっきり「ハマる」のが怖かったのかもしれない。一度ハマったら、またそれだけしかできなくなり、それ以外の作業は、例え将来のために重要なメールの返信だったとしても一切やらなくなるから。そしていつかはガス欠を起こし、プツリと一切のやる気を持てなくなってしまうかもしれないから。だから修論の研究とかも完全にハマらないようにはしていたのだけど、それでも終盤になってくると特に、それ以外のことをやる気持ちが失せて、なぜかYouTubeだけは一つ一つの動画が短いからか見てしまうのだけど、それくらいしか余暇がなくなってくる。

これまでずっと背伸びをしているような状態で肩の力が抜けず、一種のバーンアウトになってしまった。この調子で博士課程を乗り切ろうとすることは確実にまずい。 なので、スイスに行くまでの「空白の3か月」で、健康的な「ハマり方」を模索していこうと思う。

この期間でやりたいことは主に二つある。一つは、「普通」のアルバイトを体験すること。自分の大学生活では、スタートアップ企業でソフトクリームを巻くロボットを作ったり塾で物理の質問に応対したり東大の授業に英語字幕を付けたりといったバイトしかやってこなかったことに対する反動なのか、飲食とかコンビニとかのバイトにずっと憧れを持っていた。また、今までのバイトも研究も、基本的に特殊な対応しか求められなかった。マニュアル化されていないからこそスタートアップなのであり、新規性がある研究なのだ。だからこそ問題解決に悩むばかりなのである。一度、マニュアル化の極みとも言えるファストフードチェーンでのアルバイトでしっかりと働けば、自分自身の今後の仕事でも、例えばメール対応とか書類作業とかマニュアル化可能な部分はあるのだし、そことうまく付き合っていくための方法を見つけられるかもしれない。

もう一つやりたいことは、手元のパソコンでできる範囲で博士課程の研究の予備実験を行っていくことである。ちょっと今までとは違う分野なのでまた学んでいかないといけないので、シミュレーション環境で動かしたりしながらその分野の方法論や肌感覚を身に着けていきたい。論文もたくさん読みつつ、このサイトのどこかで紹介してみたい。

同期がみんな新卒の社会人として頑張っている中でこんな悠長な生活をしているのも変な気もするが、今後の人生でここまで自由な時間も(まあ、定年後は除いて)ないと思うので、しっかり楽しみたい。



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