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チューリッヒでの日常と研究生活

2022年10月02日

私はチューリッヒ工科大学での博士課程に入るために、6月末に日本を出発しました。日本ではちょうど新型コロナ感染症の患者数がまた増えてきていたころで、街中ではほぼ全員マスクをしている状態だったのですが、成田発チューリッヒ着のスイス航空の便が成田を離れた直後に、乗務員までもが一気にマスクを取り始め、早速スイスでの「新しい生活様式」の様子を感じることができました。スイスに着いてからも屋外はおろか電車内でもマスクをしている人をみかけることはまれで、マスクしていると逆に目立つため私も2年ぶりにマスクなしの生活をしています(最近は電車内だけはつけるようにしています)。

チューリッヒでは同じくETHの博士課程の日本人の方2名とのシェアハウスに入居しています。チューリッヒでの住宅探し事情はとても厳しく、仮住まいを数ヶ月ごとに点々とするようなケースも聞くので、タイミングよく空き部屋ができて良い住まいに入ることができた縁に感謝しています。

チューリッヒはとても美しい街で、絵に描いたような石畳とお洒落な建物がずっと続くような地域も多く残っています。天気の良い日に散策するだけでも楽しく、良い息抜きになっています。一方で人口は40万人ほどで、東京と比べたらはるかに小さい街です。ここにずっといたらすぐ飽きるのでは、と恐れもしていたのですが、ヨーロッパならではのイベントがたくさんあり、研究室のメンバーと誘い合って行ったりしているので、当分飽きることはなさそうです。これまで、木曜の昼にフラウミュンスター教会で開かれるオルガン演奏会や、年に一度のお祭りKnabenschiessen(チューリッヒの子供が射撃の腕を競うのが本来の内容だそうです)にやってきたやたらとスケールの大きい移動式遊園地に遊びに行ったりしました。またちょうど先週は世界的バイオリニストのヒラリー・ハーンの演奏会が開かれ、まさか生演奏を聞ける日が来るとは思っていなかったのでとても贅沢な時間を過ごすことができました。

左から:フラウミュンスターのオルガン演奏会、Knabenschiessenの移動式遊園地、Hilary Hahnのコンサート

研究室生活

7月初めから研究室に行っていたのですが、所属している博士課程プログラムとの兼ね合いなどから9月から始まるとの想定だったようで手続きが色々と遅れ、1か月ほどは(指導教員の許可の上)学生ではないけど勝手に研究室に行っているという中途半端な状態でした。しかし8月からは無事学生として認められ、正式に博士課程に進学することができました。 スイスの研究室は一般的にワークライフバランスが徹底され、5時になるとみんな帰り始めて帰宅後は一切仕事の作業はしない、といった話も聞くのですが、私の所属する研究室は結構忙しい方で、夕食を研究室で食べ、時には帰宅後も作業するメンバーもいます。まだ新しい研究室なこともあり、グラント(競争的資金)の申請書を書いたりすることも多く、研究の他にもやることがたくさんあるのが現状です。個人的には睡眠を削ることなく博士号を取りたいと思っているので(すでに失敗しかけていますが…)、単純な作業は効率よく手際よく終わらせていき本質的なことにじっくり取り組めるような仕事術を模索していきたいです。

左から:CLSの合宿での指導教員のRobert Katzschmann先生の発表、研究室のソフトロボットアームと私

研究としては、指先による器用な物体操作をロボットで実現させるための制御器を開発しています。強化学習と言って、テニスに例えると状態(相手と自分の身体の姿勢とボールの位置)、行動(自分の次の動作)、報酬(ボールを相手に返して点を取れたか)の3つの情報をもとに学習すると報酬を最大化するような制御器を作ることができる、という手法です。現在は強化学習を使ったロボット制御コンテストに応募し、研究室のチームを率いているので、ぜひ高得点を取り今後の研究で使えるベースとなる制御器を開発したいです。

まだ到着してから3か月で、ほとんど研究成果はないのですが研究発表や交流の機会も既にいくつかありました。私はETHではCenter for Learning Systems (CLS)という、ドイツのマックスプランク研究所(MPI)との合同プログラムに所属しているのですが、そのCLSの合宿が9月はじめにあり、ドイツのワイテンブルク城という古城で3日間過ごしました。その合宿では研究発表の座長を務め、CLSに所属する学生と研究を発表しあい議論を深めることができました。 また、9月末は日本の研究プログラムであるムーンショットプログラムのプロジェクトのスイス視察があり、思いがけず何人もの日本のロボット研究者とお会いすることができました。



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