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ツェッペリン博物館に行ってきた

2023年07月15日

チューリッヒに着いて1年ほどが経つが、ようやく1本目の論文が出せそうで(やるべきことは他にもいくらでもあるが)一区切りが付く目途が経ってきた。論文の準備や授業の課題に追われてここ数週間忙しかったので、気分転換にどこ行こうかグーグルマップを眺めていたら、誰かにおすすめされて地点登録していたドイツのツェッペリン博物館が目に入った。20世紀初頭に世界中を飛んでいた飛行船のツェッペリン号のあらゆる展示があるらしい。こういうディープな展示に目がないオタクとしてはぜひとも行きたかった。 というわけで昨日思い切ってドイツ行きの切符を買って、今日行ってきた。

とは言ってもさすがヨーロッパ、2時間程度で着くし片道20フランくらいしかかからない。チューリッヒからロマンスホルンまで電車で行ってから、ボーデン湖をフェリーで渡る経路だ。

フェリーは1階部分は車用のスペースで、階段を上って客室エリアに入る。見ての通り快晴でとても気持ち良い40分の船旅だった。たまにはツイッターばかりでなく本でも読もうと持ってきていたのが、白洲次郎の書いた文章を集めた本だった。以前も白洲次郎伝記を読んでいて、1940年時点で既に敗戦を予知し、東京が焼野原になり食糧難になることを見越して農業を始める先見性と柔軟性、戦後にGHQとの直接のハードな交渉にあたるタフさを尊敬していた。ちなみに、白洲次郎が住んでいた農家「武相荘」は今でも東京の町田市にあって当時の様子を残したままでとても面白いので、気になる人にはぜひおすすめしたい。ただ、この本は白洲次郎が戦後だいぶ経ってから書いた文章ばかりで、「現代」の日本をつらつらと批判する内容ばかりであまりパッとしなかった。現代ツイッターをやってたら、海外かぶれで日本の悪いところばかり指摘する出羽守として有名になってしまうかもしれない。

ツェッペリン博物館のあるフリードリヒスハーフェンに着くと、なんと飛行船が出迎えてくれた。

分かりやすくて助かる。

博物館に入館するためにコインロッカーに荷物を預ける必要があるが、それにいれる2ユーロコインがなかったため、入館前からショップで帽子を買って50ユーロをくずしてもらった。今日日差しが強いし帽子買いたいなと思っていたのでちょうど都合も良い。

博物館に入ってすぐ、ツェッペリンの大きさに驚かされる。一番上にあるのがエアバスの大型旅客機だが、それよりだいぶ大きい。豪華客船と同じくらいの大きさだ。それでも乗客は100人も行かないくらいで、客船とは比べ物にならない。船で大西洋を横断するよりは早いものの、飛行機の台頭により飛行船が廃れてしまったのも納得できる。

ツェッペリンは実は空前のサクセスストーリーだ。 1890年、ツェッペリン伯爵がドイツ軍の司令官の立場から62歳で退任を余儀なくさせられてから、以前から興味があった気球を高速化し、旅客事業として成り立たせるために起業した。腕のある技術者を雇い、失敗を重ねながらも安定して飛行する設計を作り上げ、ついには大西洋横断便まで実現し、日本にも寄港している。

博物館にはヒンデンブルク号のごく一部を再現した展示もある。この天井部に見えるバカでかい物体がそれだ。飛行船のごく一部だけでもこの大きさなのだから、いかに大きかったか分かる。人が乗れるのは葉巻型の船体から突き出した部分だけかと思っていたが、ツェッペリンは「硬式飛行船」といい、船体が風船ではなく内部に骨組み構造を持つため、この写真から分かる通り船体の内部にも乗客が乗れるようになっている。

客室を再現したエリアに入ることもできる。調度品は軽量化のためアルミニウムで作られている。無駄な重さを抑えるためのシンプルさゆえだが、現代でも通用する内装だと思う。

というわけで濃いツェッペリンの展示を見れて大満足の私は、ドイツを離れて再びスイスに戻る。

ちなみにフリードリヒスハーフェンではこのような、陽気な音楽が流れイケイケのバーが取り付けられたPartyboote XXLが人気を集めていた。さしずめパリピ専用ボートといったところだろう。私が乗船したらバイブス不足により放り出されてしまいそうだったので、すごすごと普通のフェリーでスイスに戻った。最初に載せた経路の通り、この後もまたスイスで観光するのだが、それはまた次の記事とする。



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